(Audible)「橋を渡る」吉田修一
朗読 大森ゆき

「犯罪小説集」に続いて、また吉田修一さんの作品を聞いてみた。

春・夏・秋・冬と、4つの章の話。
前の章に出てきた人物が次の章でちょこっと出てきたりと、少しずつ繋がっている。
春〜秋はいつもの吉田修一さんの小説。
2014年頃に話題になった時事ネタを取り入れたて、登場人物は普通に暮らす人々。
さて冬は全員が繋がるのかな?と思っていたら、なんと、らしくないSFチックな話。
70年後の近未来的な日本が舞台。
これは意外でした。

春の章で、玄関先になぜか置かれた米と酒の銘柄が「響」と「凜」。
冬の章で出てくるサイン(新人類?)の名前が同じだと気付いた時は、ちょっとドキっとしました。
置いて行った人物が誰なのかは結局解決してないけど、意味があって置かれたんだなと。

謙一郎が希望の時間に戻れなくて、あーダメなのかぁと少し残念な気持ちになったけど、それは謙一郎に「自分は正しい」って気持ちがあったからなんだろうね。
でも現在にサインの2人がタイムスリップしたことにより、未来は変わるのかもしれない。
これ、「橋を渡る」じゃなくて「橋を渡れ」ってことなんですよね。
| や行(その他) | 16:12 | comments(0) | trackbacks(0)
(Audible)「犯罪小説集」吉田修一
朗読 四宮豪

5つの短編。
どの作品も、実際にあった事件が題材だなと思えるもの。
ノンフィクションではないだろうけど、
あぁ、こんな感じの背景があったんだろうなと思わせる。
誰の身にも起きそうな、人生のちょっとした踏み外しが積み重なって事件へと繋がっていく。
読後感は悪くないけど、いい感じはしないかな。

「曼珠姫午睡」は他とちょっと毛色が違う。
けど、これがなんだか面白かった。
容疑者ではなく、その同級生の話。
不満はないけど満たされてない日常に飛び込んできた同級生の逮捕。
容疑者のそれまでの人生が書かれている週刊誌の記事を読んで、
容疑者が働いていた地方のスナックを見に行く。何をする訳でもないのに。
どうして?と思いつつ、なんとなく分かるような気もする。
この作品が一番印象に残った。

どの作品もはっきりとした終わりはない。
終わり方が中途半端というよりは、余韻を残して、
あとはそれぞれが想像を膨らませてほしいってことなんだろうな。
そういえば吉田修一さんの作品はこんな感じだったなーって思い出した。

ただこういう終わり方のせいか、Audibleでは区切りがわかりにくかった。
タイトルが独特だから、「ん? 今なんて言った?」
「あれ?話替わってる?」と戸惑ってしまうことがあったのがちょっと残念。
| や行(その他) | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0)
「さよなら渓谷」吉田修一
さよなら渓谷
さよなら渓谷
吉田 修一

全くすくわれない話。

読み始め、これは秋田の幼児殺人事件をベースにした話なのかな?と思ったら、
話の焦点は隣家の夫婦の話。

隣家の事件によって、事件に直接関係ない隣人のプライバシーまでが
暴かれてしまうってのは、なんだかとっても怖い。

被害者は、加害者のただひたすら謝りたいって気持ちを、受け入れるってのは
やっぱり無理なのかな。
当事者となったら、やっぱり無理なんだろうな。

最後の方では、「もう過去なんていいじゃん。一緒に幸せになればいいじゃん。」と
簡単に思ってしまったんだけど、そう簡単なものじゃないのかな。

レイプという罪に対しての男女の考え方の違いみたいなものも感じられて、
ちょっといやだったな。
男同士では、犯人に対して内心では「ま、仕方ないよな」と思うってのが何とも。

吉田修一は「悪人」の印象が強かったので、正直「さよなら渓谷」は物足りない感じ。
でも、やっぱりいろいろと考えさせられます。
昨年出た「元職員」にも期待してます。
| や行(その他) | 22:55 | comments(0) | trackbacks(0)
「真相」横山秀夫
真相
真相
横山 秀夫

5つの短編集。
事件の奥に隠された「実は…」な話。

短いけど、どれも結構読み応えある。
でも、読後感はあんまり良くない。
身につまされるっていうか、すごく現実的だから。

心情とかの書き方が分かりやすい。
やっぱ横山秀夫はうまいなぁ、って思う。
あんまり読んでないんだけどね ^^;
| や行(その他) | 23:43 | comments(0) | trackbacks(0)