2022.05.22 Sunday
「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」
あなたは、この結末を「誤訳」する。
オスカル・ブラックの世界的ベストセラー「デュダリス」の最終巻を世界同時発売するために集められた9人の翻訳家たち。原稿の流出を恐れる出版社のエリックは、翻訳家たちを厳重な警備のもと監禁状態で翻訳させる。しかしある日、最終巻の冒頭部が流出。エリックのもとには「これ以上流出させたくなければお金を払え」との脅迫状が届く。翻訳家たちの誰かが流出させたと疑うエリックは、犯人が名乗り出るまで食事や電気も止め監禁を続ける。だがそれでもまた流出してしまい……。
ネットも電話もなし、外界との接触を全て閉ざされた中での翻訳作業。
そんな状態で一体どうやって流出したのか……、
一体誰が流出させたのか……。
集められた翻訳家たちは、ちょっとクセがありそうな人物もいるけど、
みんな「デュダリス」のファンみたいだし、流出させる動機はなさそうだけど。
観ていて途中で、翻訳家じゃなくて作家が流出させたんじゃないの?
なんでエリックは作家を疑わないの?って思ってたんだけど、疑う必要がない理由があったんですね。
ちなみに作家のオスカル・ブラックは謎の人物で、その正体を知っているのはエリックだけ。
冒頭の火事の映像、途中に警察で対峙しているエリックと翻訳者のアレックスのシーンが挟まるので、
「ん? んん?」ってなりながら観てたけど、なるほどそういう事かって後半に納得できます。
本屋のおじいさんジョルジュとアレックスの出会いのシーンがいいですね。
本を万引きしようとするアレックスに、ジョルジュは「オリエント急行殺人事件」の犯人はだれかと質問する。
正解したら本を持って帰っていい、不正解だったら店を手伝うようにいう。
アレックスの答えは合ってたけど、ジョルジュは「そこの本を棚に並べて」と。
「あれ?」と思ったけど、アレックスが万引きしようとした本がまさに「オリエント急行殺人事件」なんですね。
夏休みにだけお店にくる少年を本好きと見抜いて、ジョルジュは友だちになりたかったんでしょうね。
いい出会いです。このシーンが一番好き。
見終わって気になるのは、オスカル・ブラックはもう作品を書かないのかなぁって事と、撃たれたカテリーナはどうなるのかなぁって事。
カテリーナにはちゃんと最終巻を読んでほしいな、読まないで亡くなったら無念すぎるよ。